榊城整体院

動き過ぎは厳禁!寝違えに肋骨痛、五十肩もあった30代女性の施術例

1週間くらい前に寝違えてしまい、その4~5日後に酷くなったために来院した30代女性がいました。その女性は、少し様子を見ていたら良くなるだろうと思っていたのですが、あまりにも酷くなったので来院されました。右肩関節の後ろ側に湿布を貼ると首が楽になったそうです。

 

寝違えは3回で終了

寝るときや起きるときなど首を動かすと痛みを感じていました。この時の状況がとても良くないので首や肩、背中をもみほぐすだけにしました。右肩を上げると痛みがあります。しかし、私は寝返りを改善すれば良くなるものだと考えていましたのであまり気にしていませんでした。湿布を貼ると楽になっていたので続けるようにお願いして次回に備えてもらいました。

 

次回は1週間後くらいで考えていましたが、ご本人が早く治るのなら早く来たいと仰いましたので4日後に来ていただきました。その2回目には、寝るときや起きるときなど首を動かすことが楽になりかなり良くなっていました。身体を押せば痛み(圧痛)はありますが、筋肉が前回よりやわらかくなっており整骨も取り入れました。この時は左の背中~腰が張っており、首や肩、背中にかける時間が前回より減りましたので腰の施術も致しました。

 

後で長引くことになりますが、右上腹部の上にある肋骨の痛みもありました。肋骨が折れていたり、ヒビが入ることは珍しくなく、それによって痛みを伴います。この場合、安静にして様子見するしか方法はなく、病院でも同じです。強いて言えば、肋骨を固定するサポーターのようなものがあり、それを着けて過ごすことが唯一の方法かと思います。もちろん痛み止めの薬や湿布は処方されると思います。

 

軽く押して確かめてみましたが、恐らく骨折はしてないと考えました。あるとすればヒビかなという状態。ご心配なら病院に行くこともお勧めしましたが、ご本人があまり気にしてないようでしたので結局行かれませんでした。

 

3回目は11日後。2回目でかなり状態が落ち着いたため期間を少し空けて身体が安定するかどうか判断し、これで寝違えの施術を終えようと考えていました。首の状態はほぼ問題なく、あとは時間とともに残りの5~10%良くなるのを待つだけでした。右の背中が辛くなることもあったようですが、腰や脚の施術も入れながら寝違えの施術はこれで終わりです。予定通り3回で終わったことですし、酷かった最初の状況を踏まえれば上々でしょう。

 

自分の運動許容量を知ることが改善速度を速めることになる

1か月後、腹筋をしたら右肋骨の痛みが再発したそうです。肋骨の状態が完全に落ち着かないうちに負荷をかけて動かしてしまったために起こったのでしょう。痛みが強いわけではなく、運動すると痛みがでたり生活する中で不意に痛みを感じていました。上記で述べたように肋骨の痛みは安静が必要です。

 

身体を押していると、右の背中がやけに硬いことが分かりました。ここが硬いから痛むのか、肋骨痛があるから硬くなったのかどうかは分かりませんが、どうやらこの硬さと肋骨痛は関係しているようです。なぜなら、ここが緩むと肋骨の痛みも減少したからです。そしてここの硬さが肩甲骨の動きを邪魔をしていますので右肩を上げると痛むことも関係がありそうです。

 

2回目は3週間後でした。今度は肋骨の痛みだけでなく右肩の痛みが気になるようになっていました。さらに3週間後の3回目。肋骨の痛みは気にならなくなりましたが、右肩はまだ痛みました。しかし施術により、右肩の痛みは落ち着いていきました。

 

それから約4か月後。ピラティスで右腕を伸ばしたら右脇の下にある回旋腱板が痛く感じるようになりました。圧痛もあります。きっと何かの原因で回旋腱板や肩周りが疲れており、いつも通りに身体を動かしたら過負担となって痛みを感じたのでしょう。

 

その次の3週間後。今度はピラティスでキツめに身体を動かしたら右肩・腕の動きが良くなっていました。ただ、腕を上げる最後の150度~180度のあたりで痛みを感じます。五十肩の気配です。しかし不思議なもので、同じピラティスでも身体が良くなったり悪くなったり、状態や使い方によって良くも悪くもなりますね。

 

次も3週間後です。この日の1週間前に仰向けで身体を反らしたら右の肋骨痛が再々発しました。右肩痛は変わりません。それに加えて右肩を下にすると痛みを感じるようになったため、これは五十肩で決まりだと思いました。ですので、痛くなる手前の150度くらいまで右腕を上げる体操をお願いしました。

 

約2か月後。ピラティスをしたら痛かった肋骨がさらに痛くなりました。

 

ここで気になることは、運動すると肩や肋骨が痛んだことです。身体をよくするために運動しているのに、痛みが出たら元も子もありません。痛みが強くなったら身体を動かすことをお休みしてください。決して運動が悪いのではなく、自分の許容量以上に身体を動かすことがいけません。どうしても、運動したい場合は、優しく軽めに運動してください。その後の反応で、どのくらい動かすと痛みが出るかという基準も作っておくと良いでしょう。そうすれば、運動後に痛みが出ることがなくなり、改善速度は速くなります。

 

ついでのウォーキングではなく歩くためにウォーキングすることが重要

それから1か月半後。花粉症でクシャミをたくさんしていたら、肋骨が痛んでしまい、ちょっとした動作でも響くようになってしまいました。確かにクシャミや咳はものすごい力を使います。そのせいで肋骨に痛みを起こすことがあります。

肩の可動域は変わらず、150度~180度上げると痛みます。肩は動かせますので体操は変わらず150度付近まで腕を上げて下ろします。

 

それからもう一つ。この方はたくさん歩く方です。平気で週に2~3回は1万歩以上ということも珍しくありません。場合によっては1万5千~2万歩です。しかも趣味はカメラなため、重いカメラとレンズを持ち歩くこともしばしば。重いものをもってたくさん歩くことは身体に良くありません。

 

よく、ウォーキングは身体に良いから何かのついでに歩いているという方がいらっしゃいますが、仕事でパソコンやたくさんの資料ををカバンに入れていたり、買い物袋をぶら下げて歩くことはお勧めしません。身体の状態が悪い方にはダメージになるだけですから何かのついでになさるのではなく、ウォーキングの時間を作って歩いてください。面倒くさいですが、それが一番です。ペットボトルやタオルくらいなら問題ありませんよ。

 

性格や背景を考えての施術プラン=生活の質を上げて改善の道へ

さて、クシャミをして肋骨痛が強くなってから6週間後。肋骨の痛みが少し落ち着きました。その3週間後。今度は自転車をたくさん漕いでいたら股関節が痛むようになりました。ウォーキングは相変わらずですから動かしすぎです。どうも身体を動かさないといられないようです。ここを修正できたら早く改善できるのですが…。それでも右肩痛は良くなってきました。肩の張り、可動域に良さが出てきましたよ。

 

股関節の痛みはその6週間後に良くなりましたが、右肩、肋骨はまだ少し痛みます。さらに3週間後。やっと右肩の動きが良くなり170度まではスムースに上がります。180度上げても痛みはありません。右の背中もやわらかく肋骨の痛みも気にならなくなりました。95%の状態でした。

 

これで大丈夫でしょう。あともう少し首、肩、背中の筋肉をやわらかくすれば100%になります。しかし、運動や趣味を抑えていたらもっと早く肋骨痛と五十肩が改善していたでしょうね。重いものを持ってたくさん歩く、さらにピラティスなどで運動をすることはかなりの運動量、負荷となります。そういうことが続いたために、回復量が減って肋骨痛、五十肩の改善が遅れました。

 

しかし私は、このことについて強く言いませんでした。この方はそれをしないとストレスが溜まってしまうと思ったからです。痛みが強くないこともありましたし、運動や趣味を続けることでリズムが取れて生活の質が上がりました。ストレス解消も身体の改善にはとても大事なことです。

 

榊城整体院では、なるべくお客様のご性格や生活の質を考えて施術にあたりたいと考えています。ご相談のうえ、「これは向いている、これは向いていない。」などご性格や背景も考えながら施術プランやお客様のやるべきことを決めていきます。もちろん、どうしてもやらなければいけないことは申し上げますので厳しい時があるかもしれません。しかし、無理せずできる範囲で施術を続けられるように考えたいと思っています。今回のように、本当は身体にとっては良くないけれども、その人自身にとっては欠かせないものをなるべく削りたくありません。

 

その分、通わなければいけない日が多くなりますが、その方が楽しく過ごしながら改善できる場合があります。どうか皆さま、窮屈にならずに痛みと向き合ってみてください。「急がば回れ」が良いときもありますよ。

 

整体の知識や施術例、身体とこころに関することをブログに書いています

榊城整体院院長 榊 城 Sakaki Jo

1977年生まれ。祖父・父・兄が揃って「整体・指圧・マッサージ」の治療院を開設する、いわばこの世界のサラブレッド。学生時代はスポーツ(ゴルフ)に取り組み、大学卒業後、会社員を経てこの世界へ。

2005年独立開業。以来、からだに触れながら、その背景にある生活スタイルやこころのバランスなどにも目を向けた、トータルケアを心がけている。

平成16年 国家資格 あん摩マッサージ指圧師免許取得(第121762号)