榊城整体院

五十肩は肩でなく腕が痛い!交通事故で悪化した50代男性の施術例

左側の五十肩でなかなか治らなかった男性の施術で1年半以上かかったお話をしようと思います。この方は本当に苦労しました。左の肩が痛むようになり、1か月ほど経ったころには左肩を下にして寝ると痛みで起きてしまうようになってしまいました。

仕事量が多く1日3~4時間睡眠。

施術は週に1回というプランをたて、できるだけそのように来ていただくことになりました。この男性は小さいころから身体が硬く、今でも全身がとても硬い方で首、肩、背中、腕、腰、脚のどれも筋肉が張っています。足のむくみもあり、夕方から足が重くなるのが通常で、朝から重い日もあるようです。左腕を上げると水平近くで痛みます。90度上がるかどうかというレベルでした。

 

なるべく肩回り中心の施術をしたいのですが、全身も含めて施術をしないと改善しないようです。左腕を動かすと、肩甲骨の動きが非常に悪く正規のルートで腕を回せません。そのため、痛くない程度で左腕を回すようにお願いしました。

 

左上肢を押すと、上腕だけでなく前腕も筋肉が張ってパンパンです。押すと痛みがあり(以下、圧痛)、しっかり緩まさないといけないようです。

 

この男性はとても忙しく休みが少なくて働く時間も長いです。おのずと睡眠時間も短くなります。134時間ということもざらで、この仕事環境も筋肉を硬くする大きな要因です。しかし、仕事量の長さと睡眠時間の短さは変えることができませんでした。

 

そんな状況でもゴルフは出来ているようです。明らかに運動不足の方でゴルフをする上では肩の痛みがないようですし、芝生の上を歩くことはとても良いので運動していただくつもりでそのままゴルフは禁止にしませんでした。もし、ゴルフで調子が悪くなれば私が施術すれば良いことです。それでも痛ければ、ゴルフを禁止にすることも考えていましたが、それは杞憂に終わりました。

 

生活スタイルを全く変えられない悪条件の中での施術

左肩痛になって3か月後、あまり変化がありません。筋肉の張りは良くなることもあるのですが、痛みは変わらず可動域も拡がりませんでした。睡眠時間が短いうえに、睡眠中に痛くて起きてしまうことは更なる睡眠時間の短縮と睡眠の質の低下につながります。しかもこの短い睡眠時間中に目を覚ます回数は1度ではなく3~4回くらいあるとのことです。

 

本当に苦労しました。首を緩めても変わらないのでお腹を緩めると良くなったのでお腹を中心に施術してみたり可動域が拡がったかなと思ったら元に戻ったりとありとあらゆることを試してみました。

 

そんなことをしながら痛みを感じてから5か月後、やっと左肩が水平(90度)以上に上がるようになりました。その次の週はもう少し上がり右手を使って左腕を上げれば130度くらいまで上がりました。右手を添えたという条件付きですが、今までは上がらなかった角度です。可動域が拡がりました。ここまで苦しかったですが、お客様の方が苦しかったでしょう。これで少し光が見えて希望を持ってくだされば施術効果にも現れます。

 

しかし、期待とは裏腹になかなか改善しませんでした。座っている時の肩甲骨の位置がズレていたり首や肩が張り過ぎて首が埋まっているように見える日もありました。左肩を動かす機会が減っているので左上腕の筋力が低下して細くなっていました。

 

やはり仕事量と睡眠時間が効いているため回復量が少ないです。疲れが取れないために筋肉がやわらかくなってくれません。体操をあまりしていただいてないことも良くならない理由の1つです。この悪条件の中、いかに改善させるかがこれ以後の私の大きなテーマになりました。

 

9か月半後、腕と耳がつくようになる!

痛みを感じて7か月後、2か月前と変わりません。相変わらず、首、肩、背中、鎖骨周辺、回旋腱板などが張っていて圧痛がいくつかあります。それから2週間後、左肩の痛みが減りました。しかし可動域は変わりません。さらに2週間後には左肩の動きが出てきて少しずつ動くようになりました。肩を回すと引っかかりが少し減り正規のルートに近づいて上がるようになり可動域が拡がりました。このくらいの時期には睡眠時の痛みで起きる回数は1回程度に減ってきましたよ。全身の筋肉の張りが良い日も出てきました。

 

痛みを感じて9か月半後、私が左腕をもって動かし痛みもありますが、ついに左上腕と左耳がつくようになりました!やっっっとです。ここまで長かったですね。9か月半も我慢して通い続けて下さったありがたさとここまで時間が掛かった申し訳なさの気持ちが混同していました。しかしまだ痛みはありますし、重さもあります。油断もできません。気持ちが緩むことなく施術しなければいけません。

 

その次の週、「今日はシャワーを浴びてないので少し調子悪い。」と仰っていましたが、肩は動くし腕の重さも軽く良い状態です。シャワーは皆さまにお勧めです。急性期を過ぎたら肩を温めてあげることは大切で、楽になります。できれば湯船につかってしっかり温めてあげることが効果的ですが、シャワー、ホカロン、湯たんぽなどで温めてあげることでも構いません。但し、低温火傷にならないよう注意してください。

 

この日、左上腕が左耳にかなりつくようになりました。順調に進んでいます。それから1か月後、ゴルフのスウィングのテークバック時に肩が動かなくて肩を回したいと仰りました。身体が良くなってきたため欲が出てきましたね。これは良い兆候で、身体が良くなるという希望が出てきたからこそ欲が出てきます。「あーしたい、こーしたい」という気持ちはとても重要です。

 

痛みを感じてから12か月半後、ゴルフのスウィングが良くなってきました。

ゴルフのテークバックを深くしたいという希望から約2か月後のことでした。この間、可動域を増やすためにクラブを持たないでゴルフの素振りをしてくださいとお願いしましたが、コースに出る以外はほとんど素振りをしてくださいませんでした。2か月かかった理由はそこにあります。もし、素振りをしていたら1か月くらいで良くなったと思います。

 

なかなか治らない理由の隠された秘密は交通事故にあった

そのまま良くなってくれると思っていたのですが、思うように良くなってくれません。状態が良くなったり悪くなったりで現状維持が続きます。五十肩でこんなに時間が掛かることは初めてです。何かほかに理由がないのでしょうか。とても悩んでいた時に奥様からお話を聞くことができました。

 

それは車同士の交通事故でした。相手方が悪くてぶつけられたそうです。ご本人はいたって冷静だったらしくそんな特別なことではないという感じだったようですが、頑丈で有名な車はかなりの損傷で、相当ひどい事故だったそうです。

 

道理でなかなか治らないわけです。その後、病院で検査を受けて問題ないことは確認していますが、施術をする上では影響があります。ぶつけられた衝撃で筋肉に負担がかかりますし、ご本人が飄々としていたとしても精神的なストレスもあります。以前から申し上げているとおり、身体の強い張りに精神的なストレスが加わると状態が悪化します。やはり、良くならない理由がありました。

 

なかなか治らない五十肩の理由がわかりましたので、それを踏まえて施術を続けました。痛みを感じてから12か月前後からゴルフへ行く機会が増えてきました。季節が良くなってきたことと、左肩の具合が良くなったことが理由かと思われます。この時には左肩を下にしても睡眠中に起きることはなくなりました。

 

痛みを感じてから13か月後、固まっていたかのような左肩が動くようになり、肩を回した時の引っかかりが少なくなりました。それでも、左の筋力低下を感じたり可動域が減少、左肩を下にすると痛むこともありましたが、施術をすればすぐに元に戻ります。筋肉の張りが取れてきて可動域が拡がった状態が通常になってきた証拠です。もう一段、左肩の状態が上がればかなり良くなるでしょう。

 

痛みを感じてから約16か月後、ご本人が良くなってきた実感をするようになり、その次の週はさらに実感されました。それでもまだ落ち着かず、可動域が狭くなったり背中や全身の筋肉の張りが柔らかい日があったり、良い日と悪い日が交差しています。ということはまだ芯の部分が良くなってないからです。しつこく施術を続けていきます。

そんなことを続けていたら、左肩の上がり方が90%の状態になってくれました。痛みを感じてから約19か月後のことです。つまり、1年7か月もかかりました。長らくお待たせしちゃいましたね。

 

超重度!五十肩仲間と全くかみ合わなかった体験談

実はこの方、病院へも行っていますが、五十肩専門で有名な施術院を訪れていました。そこでもあまり結果が出ず、すぐ治ることを売りにしている場所のため、お断りをされたそうです。もう一つ、もしかしたら霊的なものじゃないかと不安になられて、除霊で有名な方の所へ行ったのですが、霊は取りついてないからとお金も取らずに帰されたそうです。つまり、単純に五十肩が酷い状況でなかなか治るようなものではなかったということになります。

 

よくある話で、五十肩が1回で治ったとか3回で治ったというようなお話もありますが、単純にそのくらいの状態だっただけです。私だってそのくらいのことはあります。

 

この方の五十肩話は他の重度の五十肩経験者と全くかみ合わなかったそうです。それだけ状況が重かったということですからこれだけ時間がかかることは致し方なかったということになります。但し、少しでも仕事量・睡眠の改善、体操をしてくれたらもっと早く良くなってくれたでしょうね。

 

誰がやっても見放されたような状況でも、榊城整体院は改善するまであきらめません。もちろん、治らないものを長く引っ張って施術をすることはいけません。改善するもの、しないものを見極めて施術をしてまいります。

 

私は、この超重度の五十肩を経験しましたので、それ以来、さまざまな五十肩のお客様が来院されても驚かなくなりました。もし、なかなか治らない五十肩でお悩みの方がいらっしゃればお気軽にご相談ください。

 

整体の知識や施術例、身体とこころに関することをブログに書いています

榊城整体院院長 榊 城 Sakaki Jo

1977年生まれ。祖父・父・兄が揃って「整体・指圧・マッサージ」の治療院を開設する、いわばこの世界のサラブレッド。学生時代はスポーツ(ゴルフ)に取り組み、大学卒業後、会社員を経てこの世界へ。

2005年独立開業。以来、からだに触れながら、その背景にある生活スタイルやこころのバランスなどにも目を向けた、トータルケアを心がけている。

平成16年 国家資格 あん摩マッサージ指圧師免許取得(第121762号)