榊城整体院

頚椎5~6番が潰れて親指、人差し指のしびれがあった70代女性の施術例

病院で第5~6頚椎が潰れていると言われて右上肢(右腕)のしびれ、特に親指のしびれが強くあったこの方は、医師から手術はリスクが高いしこのまましびれと付き合っていこうと言われたそうです。

しびれが拡がる。親指だけでなく人差し指もしびれる

初めにいらした時は右上肢と右の親指がしびれていました。左首から左背中の張り、膝が大きく膝痛もあるようです。足首が腫れていてふくらはぎのむくみがとてもありました。だいたい、私のもとに来る方は主訴だけではなく他の部位にも問題があるケースがほとんどです。そこまで身体が悪くなってしまったために症状が重たくなってしまいます。できれば酷くなる手前で食い止められると状態が悪化せず治りが早くなります。施術の時間も取られますし、色々な箇所を施術しなければなりません。おのずと日数もかかってしまいます。

 

首を中心に全身の施術を行いました。指圧・マッサージ・整骨です。始めは毎週1回の施術プランです。私は6か月で改善すると思ってお伝えしました。

 

2回目。しびれは変わりませんでしたが、親指だけだったしびれが人差し指もしびれていました。左肩と左の背中が1番辛いと仰っていました。右側の第5~6頚椎のあたりは弱々しい感触でした。弱々しさを強さに変えていかなければしびれは改善していかないでしょう。

 

背中は筋肉が張って丸みがありました。腰はとても硬くて頑固な筋肉の張り。首だけでなく全身の張りが強く、手強いお身体。良くなる時間がかかりそうです。

 

3回目は3日後です。しびれは変わりませんが、右側第5~6頚椎の感触が変わって良い張りになってきました。

 

症状を忘れるのは理想の改善の仕方

4回目。鎌倉で歩き回ったそうです。座った姿勢が真っすぐではなく右側に捻れていました。それもあって腰は本当に硬いです。今回は首や背中だけでなく腕も(上肢)も施術しました。腰を反らしていただくように体操していただきました。

 

5回目。首の張りが強く、左首、左肩、左背中は圧痛。しかし、背中や腰の張りは少なく押しやすくなっていました。日傘を持ったら右手のしびれを感じたことが気になったところです。

 

10日後の6回目。右手のしびれが強くなり、間がなくずっとしびれている感じがするようです。肩は強く張っています。この日の前週に2日間、2万歩ずつ歩いたことが影響していたと思われます。歩き過ぎで疲れて筋肉が張って縮こまり、もともと狭かった第5~6頚椎の間がさらに狭くなってしまったためだと思われます。

 

2週間後の7回目。しびれの間隔が空いてきて、しびれを忘れるようになってきたそうです。症状、押した時の張り共に良くなっていますから順調です。しびれの症状を忘れるというのは本当に良くなってきた証拠。普段は忘れることがないくらいしびれて困っていましたからお客様は少しホッとなさったことでしょう。しびれに関わらず、症状が良くなってくるとその症状を忘れていくものです。「そういえばしびれていたんだっけ?」なんてことがあったら良い流れです。

 

中づり広告を見るとしびれを感じる

8回目も2週間後。しびれはありましたが、首や背中を丸めて手を動かすとしびれが和らぐそうです。反対に真っすぐにするとしびれが出てきました。私の最初のコラム「身体が辛い時には良い姿勢を意識しなくてよい」でも述べていますが、身体が悪い状態の時には良い姿勢をするとかえって悪くなってしまうことがあります。楽なために悪い姿勢をとっているのでそのままの方が都合が良いのです。

 

ここまで順調に来ましたが、ここからなかなか改善しない期間が続きました。右手のしびれは変わりませんが、不思議なことに右の背中(第10胸椎)~腰(第3腰椎)の辺りを押すと右手がしびれることがありました。直接的には関係ないところですが、何か理由があるからしびれるのでしょう。ここも緩めないといけないということです。

 

その次の週は駅で転倒してしまい、両膝を強く打って(打撲)内出血があり痛々しいくらいの大きな青あざがありました。膝をかばって歩きますから腰に負担がかかり、首にも影響しました。

 

その翌週、ほぼ徹夜で資料作りをしていたこともあってしびれを普段から感じていました。長らく座って作業をしていましたので背中や腰が張ります。下を向いているわけですから首に負担がかかり筋肉が張ってきます。

 

翌週。電車に乗って中吊り広告を見ていると手がしびれたようです。上を向いたために、第56頚椎から出る神経の空間がもっと狭くなり神経に触れたことでしびれを感じたのでしょう。もともと頚椎同士の間隔が空いていればそんなことがありませんが、潰れているために触れてしまうのです。このようなことは初めてで、膝を打ったり徹夜で作業したり、緩い坂道を30分かけて登ったこともあったそうです。こんなことが続けば良くなってきた頚椎の状態は悪くなってしまいます。回復することよりも負担がかかる方が勝ってしまいました。

 

歯医者や美容院へ行く前後に体操して痛みを防ごう

この後も色々なことが起こりました。歯医者の後に股関節が痛くなりました。30分くらいですからそんなに長くはありませんが、その時の体調と椅子を倒した角度が良くなかったのかもしれません。歯医者さんの後に身体が痛くなる場合があります。美容院の後も首や腰が痛くなることがあります。長く座っていますから身体が硬くなるためです。パーマとかカラーリングの場合はとても長い時間座っていますもんね。

 

歯医者や美容院に行く前後に軽い体操をすれば、痛みを避けられますから試してみてください。

 

股関節の痛みが翌週に良くなったと思ったら足首が腫れることもありました。それに加えて腰痛で腰を反らす体操ができない時もありました。この時、施術後約5か月後です。右上肢のしびれはときどき感じていました。上を向くとしびれることに変わりはありませんでした。

 

旅行に行ったときに転倒したこともありました。幸い大事に至らずご無事でしたし、身体の打撲、張りも問題ありませんでした。ご主人が肺炎になって1週間看病したこともありました。背中が丸まって疲れていて、足首痛がありました。1週間でも看病は疲れるものです。このくらいで済んでいれば大丈夫です。疲れは施術で取っていきました。

 

施術開始から7か月後。またもや右の背中から腰にかけて押してみると、首や右上肢に響いてしびれます。右上肢を押すと痛みがあります。忙しさが落ち着いたこともあって身体の張りは良かったです。上を向くとすぐにしびれていたのが30秒くらい経ってからしびれるようになっていました。少し状況が上向いてきました。

 

忙しすぎる生活。治るどころか悪化してもおかしくない

さて私が半年で改善すると思っていた手のしびれ。なぜ良くならないのでしょうか。この方はとても忙しい方で、ご家族の中で1番働いてます。ご主人様が働くためのご準備やフォロー、3人の娘さんに対する平等のお手伝い。近かろうが遠かろうがご自宅へ行ってお手伝いをしてあげます。お孫さんがいればお相手もしてあげます。抱っこはしてほしくないのですが、抱っこをして腰や膝を痛めることもしばしばありました。

 

習い事もいくつかしていてお出かけします。そこで頼りにされて徹夜で資料を作ったりイベントの準備をしたりとほぼ毎日外出して飛び回っているような生活でした。

 

こんな生活をしていては治るどころか悪化してもおかしくありません。よくこんな生活を何十年も続けてこられましたね。その方が驚きです!なんとか私の施術で症状を食い止め、少しずつ改善するのが精一杯でした。そのため、なかなか手のしびれが改善せずに半年を過ぎたのです。

 

歯の治療、雪かきで改善がまたまた遅れる

施術開始後8か月後くらいに歯を4本集中的に治療することになりました。1回にかける時間が30分ではなく、1時間~1時間半くらいかかるようになりました。長い間座っていることで腰に負担がかかり、口を長く開けていると顎関節に負担がかかり首が張ってきます。

 

それに大雪が2回降ったことによって雪かきをされました。雪かきだけでも大変なうえ、歯の治療でも疲れていたこの身体は1回目の雪かき(3~4日間)、その2週間後に2回目の雪かきをされました。それから腰痛と膝痛を引き起こし、手のしびれも強めに出ていましたが、まずは腰と膝を中心に施術をしました。上を向いて首を反らすといつものようにしびれ、右上を見るともっと早くしびれることに気づきました。やはり、歯の治療や雪かきが頚椎に影響を及ぼしたようです。

 

しかし施術の効果があり、その2週間後には腰や膝は良くなり、しびれも上を向いたときのしびれる時間が遅くなっていましたから、腰や膝から頚椎に負担をかけていたのでしょう。

 

歯の治療の間、首の張りの強いことが多かったです。ストレートネックが強めに出ている日もあり、その時は来たときからしびれを感じていました。

 

施術開始から11か月後、午前中は歯医者に行ってきたようで右手がしびれながらいらっしゃいました。それでも上を向いてしびれを感じるのが遅かったです。歯医者はあと1回で終わりでしたから仕切り直して施術を続けていこうと思った矢先、体調崩してしまって2か月半ほど空いてしまうことになりました。

 

私が経験した中で1番苦労した手のしびれの施術

久々の施術です。体調を崩しゆっくり過ごしていたせいか、手のしびれは少なくなっていました。首の可動域が良いし、肩甲骨回りの張りがやわらかかったです。気になったのは足首の腫れだけでした。良くなっていたこともあり、この辺りから約3週間に1回のペースに変更しました。

 

しかし、しびれは強くなったり弱くなったりとバタバタしていました。普段の生活の忙しさに戻ったためでしょう。それでも施術を続けていくとしびれの強い日があまりなくなってきました。施術開始から約1年7か月後のことでした。

 

その1か月後、首が少し伸びて長くなってきました。筋肉が緩んで首から背中の弯曲が正しい角度になってきたからですね。しびれがだいぶ少なくなってきたこともうなずけます。それでも完全にはしびれがなくならず、お孫さんを抱っこしたら膝がまた痛くなってしまいました。

 

さらに約2か月後にも転倒して膝を打って膝痛です。大きいあざもありました。そんなことも対処しながら施術を続けてさらに1か月後。ようやく手のしびれがほとんどなくなりました。

 

1万歩以上歩くと膝が痛いと仰るので膝の施術を続けていきましたが、それ以降手のしびれを感じることはありませんでした。施術開始から約1年11か月後でした。ほぼ2年かかり、私が1番苦労した手のしびれの施術でした。これ以降、こんなに手のしびれで時間が掛かったことは今でもありません。最後までやめずによくついてきてくださいました。お陰様で良い経験となり今ではこの苦労が役に立っています。

 

今回はこんなに時間が掛かってしまいましたが、普通はこんなにかかりません。しかし、手足のしびれはやっかいなものであり、1回でほとんど良くなるものはとても珍しく、このように時間がかかるものです。

 

恐らく、第5~6番の頚椎の潰れ方が深刻なものであり、忙しすぎる生活が重なったことが原因でしょう。この忙しさを抑えられたら、期間がかなり短くなったと思います。普段の生活はとても重要です。一日一日の積み重ねが数か月という結果の違いを生み出すこともありますから、お身体を大切に使ってくださればと切に願います。

 

整体の知識や施術例、身体とこころに関することをブログに書いています

榊城整体院院長 榊 城 Sakaki Jo

1977年生まれ。祖父・父・兄が揃って「整体・指圧・マッサージ」の治療院を開設する、いわばこの世界のサラブレッド。学生時代はスポーツ(ゴルフ)に取り組み、大学卒業後、会社員を経てこの世界へ。

2005年独立開業。以来、からだに触れながら、その背景にある生活スタイルやこころのバランスなどにも目を向けた、トータルケアを心がけている。

平成16年 国家資格 あん摩マッサージ指圧師免許取得(第121762号)