榊城整体院

受験を控え痛みでペンが握れない!若年性特発性関節炎と診断された女子高校生の施術例

大学受験を1年ちょっと先に控え、長時間勉強するとペンが持てなくなるほど手や手首が痛くなるという悩みを持った女子高校生がお母様と共に相談にやってきました

 

その女性は若年性特発性関節炎(以下、若年性リウマチ)を患っており、もちろん病院へ通院し、投薬治療を受けていました。それでもペンが持てない悩みは解決せず、受験勉強に対する不安が増していったそうです。

 

お母様の悩みはもう1つ、治療に投与されているステロイド剤でした。

痛みを改善し、副作用のあるステロイドの投薬量を減らしたい、いずれは中止したいというお気持ちがありました。

 

施術でリウマチの痛み改善。可能性が拡がる

若年性リウマチというのはいまだ原因不明の病気です。膠原病の一つであり難病に指定されています。その疾患に対して私がどのようにアプローチすれば良いか非常に悩みましたが、痛みだけ取れば良いのならばお手伝いできるかもしれないと施術をすることにしました。

 

初めはできるだけ週に1回通って貰うよう施術プランを決めました。

手首や指の関節が痛くなるので腕や首、背中を中心にしながら全身を施術していきました。話を聞くと、膝が痛くなり腫れることもあったようで、初回のこの日も膝痛がありました。ですから、全身の施術はおのずと必須になりました。

 

結局、期末試験があったため2週間後に2回目の施術となりました。それでも、お話しを聞くと、前回施術後から3日後に痛みがなくなったとのことでした。試験中は集中して書いているため筆圧も強くなったりします。それでも10日間痛みがなかったわけですから上々ですね。それに施術すれば痛みが変わるという可能性が拡がったことに対して嬉しさを感じました。

しかし2回目の施術のこの日は膝痛があり、水も溜まっていました。ちょうど、この日は期末試験最終日でしたから、勉強もかなりこなしていたはずです。背中や腰を押すと痛みがあったりお腹が張っていたり、疲れは当然ありますよね。

 

3回目の施術の2日前には右の手首が痛くてロキソニンという解熱鎮痛剤を使ったようでした。翌日の昼まで痛みがあり、その後徐々に治まったとのことでした。今までも、痛みが出たら処方されたロキソニンを使っていたそうで通常の対応ですから問題なしです。ただ、お母様としてはそういう報告がなく痛み止めを使うのは、状況が把握できなくなるためご心配なようでした。お母様の気持ちは分かりますし、娘さんのわざわざ報告するのも面倒だという気持ちも分かります。その間に立って私が状況把握できる立場でいられれば、お母様も安心でしょうし、娘さんもお母様にわざわざ報告する手間が省けるのでそうなれるように心がけて施術していきました。

 

その後も意外と順調でした。やはり施術の効果があるようでした。

 

できることは痛みを改善すること。数値はお医者さんに任せる

その年末に娘さんはディズニーランドへ行き、翌日、翌々日と両膝の痛みが出たとのことでした。でもそれぐらい良いと思います。私も大好きですし、10代の女の子としたら最高のストレス解消法ですよね!それで痛くなったって私がフォローすれば良いことです。

 

さて、施術の効果により痛みが徐々に落ち着いてきましたが、数値は下がってきませんでした。CRPという炎症反応の数値はもともと良いのですが、MMP-3という数値が下がりませんでした。このMMP-3は関節軟骨破壊に関与していると言われるもので、炎症が起きると作られるタンパク質の数値で関節リウマチ(RA)をお持ちの方にはとても大事な数値なのです。

 

私は痛みをどうするかならできますが、これはお医者さんに任せるしかありませんでした。しかし、お医者さんとしてはなんで数値が下がってこないのだろうと悩みの種だったようです。

 

MMP-3の基準値は男性より女性の方が低く、20弱~60ng/mlくらいです。詳しくはこのサイトをご覧ください。

https://www.qlife.jp/dictionary/exam/item/i_12600/

 

この方の数値は60台になったことはありますが、80台~160台を行ったり来たりです。しかもほとんど3桁の100以上でした。不思議なことに、私のところへ来る前の5か月間は2桁でしたが、痛みが変わりませんでした。私の施術をするようになって痛みが減ってから100以上ですから、この方に限ってはMMP-3と痛みの相関関係が低いのかもしれません。それも、痛みに対しては施術効果があると言える事実ではないかと考えました。

 

しかし、痛みが減っている以上この数値も下がるのではないかと話をして様子を見ると数値が2桁になることもありましたが、やはり3桁になることもあり、あまり変わりませんでした。専門外のことはお医者さんにお任せして、私にできることをやるしかありません。

 

生活リズムを整えて睡眠時間を長く取ろう。筋肉の張りが変わり能率が上がる

ここまで順調でした。手の指や手首の痛み、膝の痛みや水が溜まったりとあるにはあるのですが、酷くなりません。施術すれば大抵は落ち着きます。

ですが、たまには指が動かしにくかったり1日おきに手首の痛みが出たりしています。身体がいつも張っています。これでは痛みが強くなったり違う痛みが出たり、頻度が多くなる可能性が出てきてしまいます。変調の原因は何なのか考えました。

 

それで思い当たったのが睡眠不足でした。今の受験生は本当に勉強時間が長いです。帰りが夜の11時になったり12時近くになるそうですね。そういえば、私の近所の小学生も9時に塾が終わって帰ります。私の友人に聞いた話ですが、夜の11時まで塾に行っている小学生もいるのだそうです。塾でなく家庭教師がその時間まで教えることもあるのだとか。

 

ちょっと信じられないです。

 

話が逸れましたが、中学生だって高校生だって遅すぎます。食事は済ませているとしてお風呂入って寝る。もしくは寝て、翌朝シャワー浴びて学校へ行くわけですよね。何時間睡眠なのでしょうか?たしか、寝ている間に勉強したことを記憶するはずです。それで本当に記憶ができるのでしょうか。短い時間でも大丈夫なのでしょうか?

 

いづれにしても、睡眠をしっかりとって体調を整えたいと考えました。睡眠時間は長い方が良いと思っています。ショートスリーパーは分かりませんが、長い睡眠時間と質の良い睡眠は身体を回復してくれます。集中できますし、体力も持ちます。身体の張りも良くなります。身体にとっても勉強にとってもこの環境が絶対良いと思います。

 

話を聞いてみると、夜の1時や2時になることが多くて遅刻気味だったり、遅刻することもあったそうです。こんな状態で学校や塾で勉強するより、良く寝て良い身体で勉強してくれた方が能率が上がり効果もでます。これからは睡眠にも気を付けるようお願いして、遅くても夜の12時までに寝るよう目標を決めました。それ以後は、まれに夜の1時に就寝することもありましたが、早く帰って早く寝るよう心掛けてくれるようになりました。

 

大好きな運動がしたい!球技大会や体育祭で良い思い出を作ろう

この女子高校生は運動が好きで運動部に所属していました。しかし、若年性リウマチによって部活動ができなくなりました。体育も大好きで、運動部に所属する位ですから、体育の授業は、本来、彼女にとっては軽い運動のようでしたが、その体育授業でさえ少し頑張ると関節に痛みが出ることもありました。

 

施術中に「身体が良くなったら何かしたいこと、希望はある?」と尋ねると、「運動したい!球技大会に出たり、体育祭でリレーの選手として走りたい。」ということでした。

 

この希望は叶えてあげたいなと思ったので、間に合うよう施術しました。受験勉強が最終目標ですが、それに向かって楽しいことを経験して良い思い出を作ることは大事です。それによって受験勉強も励むことができるでしょう。

 

なんと球技大会で優勝したり、50m走で1位になったそうです。さすがにリレーの選手になりたいというだけのことがありますね。その後、身体のどこかに痛みがあるわけではなく筋肉の張りがあったくらいです。このころは、施術開始から7か月弱です。この辺りから2週間に1回の間隔にしました。

 

その後、体育祭ではちゃんとリレーの選手になり活躍しました。

これで希望の球技大会とリレーの選手の目標達成です。

 

前年の体育祭は、準備と関節の痛みで、参加できない種目もあり、目一杯楽しめなかったようですから喜んでくれたのではないでしょうか。リベンジ大成功です。学校の良い思い出を作ることも教育・成長過程にとって大事だと思います。みんなが経験できることを当たり前にできることは幸せなことです。

 

原因を突き止める。勉強量、ストレス、施術間隔の変化

その後、膝が腫れることが多かったですが、湿布を張ると落ち着きました。手首痛でロキソニンを飲んだり、首がむくんだような張りになることがありました。CRPが1度,やけに高くなりましたが、たかが1回です。稀に数値が変わることもあるものです。お医者さんも言っていたようですが、慌てることなく様子見で次回の検査でどうなるかでした。結局、数値は下がりました。

 

施術開始8か月~11か月後のことですが、珍しく2週間にロキソニンを3錠飲むことがありました。しかし、直近の1週間は落ち着いています。身体がちょっとバタついていたのは、施術の間隔を空けたためだと思われます。それと試験の結果が悪かったり、受験の時期が近づいていることも理由の1つかと思われました。

 

痛くて、不安になったりイライラしたりすることは身体に良くありません。しかし、身体を押してみても問題はありませんでしたから「大丈夫です。」と何度かこの親子にご説明し、安心していただきました。

 

症状が出ていることは何かのサインではありますが、身体の張り、骨の整列具合などをみても問題なければ大丈夫です。そうすると、ストレスか根本的な若年性リウマチの問題でもありますが、通院して常にお医者さんと相談していますから安心です。受験勉強の量が増えたこと、ストレス、施術間隔が空いたことが原因だと考えました

 

東洋医学と西洋医学の融合=助けられる人々を増やす

いよいよ受験まであと1~2か月になりました。ここでもいろいろな症状が出ました。痛くて1週間でロキソニン6錠、全体的に飲む回数が増える、指の痛み、くるぶしの腫れ、膝の痛み・腫れ、むくみ。それでも私は自信がありました。いつものように施術後、不安にならないよう「問題ない。」とご説明しました。

 

 

施術を受けるより勉強したい、との希望で受験中は2か月間で1回しか来ませんでしたが、問題ありませんでした。痛みはかなり落ち着き筋肉の張りも良かったです。

 

その後、いらっしゃることはありませんでしたが、電話でのご報告があり見事合格したそうです。良かったですね。とても嬉しかったです。この親子とはよく話をしながら施術をしていきました。この経験が今の施術のスタイルにとても生かされています。私にとって、とても記憶に残る施術でした。

 

その2年後に来てくれたのですが、病院へは通院しているものの、トラブルなく過ごし、今や部活に所属して文武両道に活躍しているそうです。

 

この施術で思ったことは西洋医学と東洋医学を組み合わせると、新しい発見があるということでした。お互い足りないことを補えば、困っている人々の助けに更になれる気がしますし、守備範囲が広がる気がします。

 

これからは、このようなケースを増やしたくさんの方々を助けらるよう努力してまいりたいと思います。

 

整体の知識や施術例、身体とこころに関することをブログに書いています

榊城整体院院長 榊 城 Sakaki Jo

1977年生まれ。祖父・父・兄が揃って「整体・指圧・マッサージ」の治療院を開設する、いわばこの世界のサラブレッド。学生時代はスポーツ(ゴルフ)に取り組み、大学卒業後、会社員を経てこの世界へ。

2005年独立開業。以来、からだに触れながら、その背景にある生活スタイルやこころのバランスなどにも目を向けた、トータルケアを心がけている。

平成16年 国家資格 あん摩マッサージ指圧師免許取得(第121762号)