私はお客様にストレッチや運動をお願いすることがありますが、セルフマッサージをお願いすることもあります。普段からしていただくと、筋肉がやわらかくなり施術がしやすくなります。浮腫み対策だけじゃなく痛みやしびれを改善するサポートとして重宝するんです。
人はどこかが辛い時に、無意識に手を伸ばして指圧やマッサージをしています。中にはボキッと鳴らして調整する方もおられます。何故だか分からないけれど手がその場所に行ってることってよくあります。きっと、本能的にセルフマッサージをすれば良くなることを分かっているんでしょうね。
セルフマッサージの利点は手軽にできるところです。痛みが強くて身体が動かせない方でも、ストレッチや運動ができない代わりとして取り入れることができます。
筋肉が弱い、硬い場所に手を当ててマッサージするだけで筋肉がやわらかくなり痛みが軽減することがあります。それを続けることができれば、ストレッチや運動ができる身体へ導くこともできます。
セルフマッサージと言っているのでマッサージしなければいけないということはありません。それぞれ好きなやり方で結構です。場所によって押しやすいやり方がありますし、気持ち良い押し方も違ってきます。
ですから指圧でもマッサージでも按摩でも構いません。もちろんボールやマッサージ棒などを使うことも良いのですが、私は自分の手を使うことをオススメします。なぜなら細やかな強さの調節や押し方ができるからです。痛みや身体の不調で運動ができない身体はデリケートです。手で優しくマッサージすることによって負担が少なく効果のあるセルフマッサージをすることができます。
時間は人によって違うのですが、初めは軽めから始めましょう。1つの部位に2~3分です。これで翌日に何も起こらなければ同じ時間で続けましょう。もし、痛い、重い、だるいなどの症状が出れば時間を減らします。30秒~1分に変えてください。
もしそれでも同じような症状が出るのならば、強さに問題があるかもしれません。気持ち良いと感じる強さがベストです。痛みがあるところは弱く押すか、避けても構いません。初めは避けることをオススメしますが、慣れてくれば痛みがあったとしても気持ち良ければ大丈夫でしょう。
それでも症状が出るか、体調が悪くなれば止めてください。今の身体にはセルフマッサージは、合わないようです。
悪くなった例としてこんなことがありました。腰痛と脚の痛みとしびれのあったお客様。私は10分~20分とお願いしたのですが、あまりに辛かったらしく、1時間セルフマッサージをしていたそうです。そのため、良くなるはずの症状が変わらず痛いままのことがありました。
1時間は明らかにやり過ぎで、その部位が傷ついてしまって状態が悪化します。場合によっては炎症反応も出てしまうこともありますから、決してやり過ぎないでください。
しかもこの方は、マッサージしていた母指球(手のひら)が痛くなってしまいました。我々も人の身体を押しすぎると手が痛くなることがあります。慣れていない方がたくさん押せば手や指の痛みにつながりますのでお気を付けください。
私のお客様にはどこを押してくださいとお願いしますが、そうでない方は痛い、辛い場所を中心にその周辺を押してください。頚が痛いなら頚、腰なら腰、足の裏なら足の裏というシンプルな考えです。
その場所を上記に述べた強さ、時間をかけて押せば筋肉は変わっていくはずです。初めは毎日、痛みが楽になれば2日に1回でも構いません。人や症状によってかなり違いますが、早い方で2週間。遅くとも4週間くらいで変わってくると思います。
もし、普段から痛みを感じていなかったとしても、無意識にマッサージしている方がいれば、そこを押してください。本人が大丈夫でも、普段から辛く感じているからこそ手が伸びているはずです。気持ち良く、改善するからこそ無意識にマッサージしているのだと思いますよ。
セルフマッサージを続けていくと血流が良くなり、筋肉がやわらかくなっていきます。そうすれば痛みや不調が改善されて身体を動かせるようになっていきます。
痛みや不調が改善されたことを実感できれば良いのですが、中には感じることができない方もいらっしゃます。そんな時には無意識に手を伸ばしてマッサージしている回数を数えてください。
悪ければ増えますし、同じなら症状は変わっていません。もし、減っていたのならそれは良くなった証拠。辛さが減ったのでマッサージをする必要がなくなってきたわけです。
まずは1か月、それに3か月くらい続けていくと効果を実感できるはずです。もし効果を実感できなければ、やり方が間違っているか、筋肉などの理由でない、自分だけでは治らないような悪い状態、この辺が理由として挙げられます。
筋肉などの理由でない場合もありますので、病院で調べていただくのも良い方法です。やり方が間違っているのもそうですが、自分では治せない状態まで悪化している場合は、やはり人の手を借りなければなりません。
上記で述べた1時間かけてセルフマッサージをしたお客様、きちんと修正して短い時間に変えていただきました。そのかいあって、施術は順調に進み、痛みやしびれがなくなりました。70代なのに、日本を飛び回ってお仕事されています。
このように、施術と組み合わせると、痛みやしびれ解消のサポートとして重要な役割をしてくれます。浮腫みだけでなく痛みやしびれでお悩みの方もご活用いただければ幸いです。
1977年生まれ。祖父・父・兄が揃って「整体・指圧・マッサージ」の治療院を開設する、いわばこの世界のサラブレッド。学生時代はスポーツ(ゴルフ)に取り組み、大学卒業後、会社員を経てこの世界へ。
2005年独立開業。以来、からだに触れながら、その背景にある生活スタイルやこころのバランスなどにも目を向けた、トータルケアを心がけている。
平成16年 国家資格 あん摩マッサージ指圧師免許取得(第121762号)