ぎっくり腰は、きちんと対処すれば高齢でも早く改善出来ます。80代のぎっくり腰になった女性が、薬も湿布も使わずに良くなった例を挙げながら、困ったときの手引きにしていただけたらと思います。
私のお客様のお母様がぎっくり腰になったので診て欲しいとご連絡がありました。痛めた当日にご連絡がありましたが、この日は安静させようと翌日にご予約が入りました。
しかし、翌日にご連絡があり、腰の痛みは前日より少し良くなりましたが来院できないので往診できないかとご相談を受けました。「場所も近いですし,それは致し方がありませんので参ります。但し、それだけ腰痛が辛い場合はもう1日待って翌日にしましょう。」とお願いしました。
何か急ぎの用事があるわけではありませんので待っていただくことにしました。その方がしっかり施術できるからです。患部の炎症が強いと患部はおろか、その周辺も触れないことがあります。しかし、2~3日置くとたいていは押すことができるようになりますので1回目から効果的な施術ができるのです。
痛んだ当日は、植木鉢をベランダから部屋に入れようとして2つ目の植木鉢を運んだ時に痛んだそうです。それからは歩く・座る・寝る・寝返り・起き上がるときに痛んでいました。特に起き上がることが1番辛かったそうです。
まずは座って触診です。この時の座り方は恐々とゆっくりでした。右側に強い張りがあったので「痛いのは右側ですか?」とお伺いすると、「右側です。」と仰いました。押してもさほど痛みを感じず、患部を触っても大丈夫そうです。
それならばと横に寝ていただくことにしました。動きはゆっくりですが、大丈夫。2日安静にした甲斐があり、押してみると痛みはあまり感じていませんでした。寝返りや身体を動かした時に右腰に痛みを感じましたがそれ以外は痛みなし。
押した時の筋肉や動作を考えて、整骨も交えながらの施術。一通り終えてゆっくり起き上がっていただくと痛みがなくなりました。歩くときに右の臀部に違和感があったので臀部を押して調整。歩くときの違和感もなくなり1回目の施術はこれで終わりにしました。
1回目から5日後。顔色がとても良かったことが印象に残っています。痛みがなくなり不安がほぼなくなったのでしょう。体調が良いことの表れです。この時のご本人の感想は、ほとんどいつも通りの身体になったそうです。
しかし、座るときに身体全体を真っすぐにしないと不安感がある。長く座っていられない。この二点を挙げられました。身体を捻った状態では痛くなりそうで怖くて座れないのですね。これはまだ、患部が完全に良くなっていないことが考えられます。長く座れないのは、筋肉がまだ回復しきっていないため、踏ん張りが効かないためでしょう。
ただ、痛めてから1週間でこの状態になれば、施術するには十分でした。
さて、施術に入りましたがベッドへ横になるスピードが速かったです。身体を押していくとあれだけ張っていた右側の筋肉が、とてもやわらかく押しやすい状態になっていました。ただ、腰椎の3~4番が硬くこれがやわらかくなるとまっすぐにしなくても座れ、長く座れるようになるでしょう。
順調に施術が終わり、ものの20分くらいで終わってしまったため、頚や背中の施術も入れたくらいです。立って歩いていただくとスピードが上がりました。すり足だった歩き方が、脚が少し上がるようになったことで歩幅が大きくなったこと、筋肉をしっかり使えるようになったことが理由です。
階段も、私と同じくらいの速さで昇り降りができるようになりました。これなら3回目は要らないですね。ぎっくり腰の施術はこれで終わりです。やはり、2日間安静したことが大きく作用しました。
皆さん、ぎっくり腰になったときにはまず安静にしてください。
1977年生まれ。祖父・父・兄が揃って「整体・指圧・マッサージ」の治療院を開設する、いわばこの世界のサラブレッド。学生時代はスポーツ(ゴルフ)に取り組み、大学卒業後、会社員を経てこの世界へ。
2005年独立開業。以来、からだに触れながら、その背景にある生活スタイルやこころのバランスなどにも目を向けた、トータルケアを心がけている。
平成16年 国家資格 あん摩マッサージ指圧師免許取得(第121762号)