足のトラブルを抱えていると腰の歪みにつながります。先日、骨盤右側のでっぱりが気になった60代女性が来院されました。この方は、左足の外反母趾と右足の内反小趾(足の小指が薬指の方へ曲がる)がありましたが、右足の内反小趾は来院される前に初めて気づかれたようです。
お話を聞いてみると、右骨盤のでっぱり(腸骨の上前腸骨棘)が左側よりも出ていると仰っていました。触診してみると確かに右側のでっぱりが強く、右側の腸骨が開いてしまっているためにこの上前腸骨棘が外側に位置し、でっぱりを感じるようになっていました。このでっぱりと内反小趾は同じような時期にできたものですからつながりが深く、お互い作用しあっているものと考えられました。
初めは左足の外反母趾でした。その外反母趾をかばうために腰や右足に負担がかかったのでしょう。骨盤が歪んで右脚の内反小趾に。もしくは、右脚の内反小趾になって骨盤の歪みへ。どちらが先かは分かりませんが、こういった流れで悪くなったと思います。
外反母趾と内反小趾は元のまっすぐな指には戻りません。改善というよりは、いかに進行させないかがテーマになってきます。進行させないためには足の指の筋力が肝心です。足の指を鍛えて、アーチを作っている筋肉も鍛えることによって進行を遅らせます。
それに加えて、負担のかかっている腰の状態を良くすれば現状維持を保つことができます。つまり、今回は骨盤矯正をして腰を整えることで外反母趾と内反小趾を進行させないようにすることが目的です。もちろん、身体を整えた後は、痛みの出ない身体に合う靴を使用したり、インソールを使うことも重要です。
両側とも腰を押すと強い痛みがありました。範囲が広く、仙骨の辺りはだいたい痛みを感じていました。右脚も押しながらチェックしましたが、思っていたほど悪い様子はありませんでした。明らかに脚よりも腰の状態が悪く、腰を中心に施術すれば外反母趾と内反小趾をカバーすることができ、身体全体が良くなります。そのためには骨盤のでっぱりを改善することは必須でした。
但し、脚の筋力が弱かったので歩いて筋力をつけるようにお願いしました。これは足の指や下腿部の筋肉をつけるためです。実際、歩きが少ない方でしたのでウォーキングは最適です。腰を整え、足の筋肉をつけることができれば外反母趾・内反小趾はこれ以上悪くならないでしょう。
ところが、施術が終わっても骨盤のでっぱりが変わりませんでした。納得がいかなかったのでもう少し時間をくださいとお願いしました。腰の施術が足りなかったと考え、5分くらいかけて施術すると、少しだけでっぱりが減りました。しかし、これではお客様が分かるかどうかの微妙な変化。
もう一工夫必要でした。腰を反らせてもう一回確認すると腰のでっぱりがなくなり、左右均一になりました。ここまで変われば、お客様も納得でした。
筋肉を良い状態にしてあげれば骨は正しい位置に戻ります。この方は、傷が浅くて良くなりやすい状態だったため1回で骨盤矯正ができました。筋肉が固まってしまえば矯正するのに時間がかかります。骨はなかなか動いてくれませんから早めに気づくことが大切です。
骨盤矯正をすることで外反母趾や内反小趾の痛みが少なくなり、現状維持または進行を遅らすことができます。榊城整体院では痩せる目的で骨盤矯正はできませんが、痛みやしびれを防ぎ、身体を整えて快適に過ごすために骨盤矯正をします。
骨盤だけでなく背骨や肩甲骨、膝など他の骨も同じく矯正できます。骨は良くも悪くも動きますので筋肉が硬くなり悪い位置に入ってしまうと身体が歪んでしまい、今回のように足や他の部位に負担がかかります。骨盤矯正することで腰の改善、二次的な痛みを防ぎ、健康な身体を作ることができます。
皆さんも、骨の位置がおかしいなと思ったら専門家にご相談してください。
1977年生まれ。祖父・父・兄が揃って「整体・指圧・マッサージ」の治療院を開設する、いわばこの世界のサラブレッド。学生時代はスポーツ(ゴルフ)に取り組み、大学卒業後、会社員を経てこの世界へ。
2005年独立開業。以来、からだに触れながら、その背景にある生活スタイルやこころのバランスなどにも目を向けた、トータルケアを心がけている。
平成16年 国家資格 あん摩マッサージ指圧師免許取得(第121762号)