私はお客様に痛みがなくなったとしても定期的に通ってくださいと申し上げます。「痛みがなくなればそれで良いじゃん!」と考える方も多いと思いますが、何故に整体を続けた方が良いのでしょうか?少し考えてみましょう。
「痛みが治まり、そのまま生活できていれば問題ないし通う必要なんてないでしょ。」と思うことは普通だと思います。しかし、そこに問題があるのです。痛みがあるときは身体のことを気遣います。ジムへ通おう!体操しよう!とか早く寝よう!とかいろいろ目標を立てたりします。
ところが、痛みがない期間が増えていくと油断して身体のことに気を配らなくなります。むしろ、仕事や遊びなどに時間を費やし、痛む前の生活に戻っていくのです。だって、痛くないですから。もう治ったから大丈夫だと普通は思います。
そうしていくと以前のような身体に悪い生活を繰り返し、数か月から数年後に痛みが再発することが多々あります。さらに痛む箇所が違うかもしれませんし、以前より強い痛みになるかもしれません。
しかし、通い続けていることにより身体は整えられる上、自分の身体に対して意識が高まるので気を付けます。そうすることによって、身体を良い状態に保つことができるのです。
痛みはなくなったものの疲れは毎日溜まります。それを睡眠で消化していくわけですが、なかなか疲れがゼロになりません。仕事量、睡眠不足や質の悪さ、ストレスなど現代の生活は疲れが溜まるものばかりです。一気に解消できれば良いのですが、そんなうまい話はありません。少しずつ消化して疲れと付き合っていけばよいのです。
うまく付き合えず溜まりに溜まると、疲れが爆発して筋肉骨格系のトラブルだけではなくて、風邪をひいたり内臓が弱ったり、心臓血管などの循環器系のトラブルだって起こすかもしれません。
どこにどのように症状が出るか分かりませんが、その人の弱い部分に現れるのだと考えています。だったらその症状が出る前に、疲れをある程度まで抑えて大きな病気にならないようにコントロールしてあげるのが健康や健康寿命を保つ秘訣なのではないでしょうか。つまり予防ですね。東洋医学的には未病治です。
施術を受けることによって疲れを強制的に出しておけば、疲れは溜まりにくい身体になりますよね。痛みがなくても日々のメンテナンスは非常に大事です。
身体が痛くないから調子良い、今日は疲れているなど、なんとなく自分の身体がどんな状態かわかりますよね。でも、私は身体を押されてみないと本当の自分の身体が分かりません。
身体を押されると自分の体調が分かります。「痛い、気持ち良い、何でもないなど」、押されることによって自分が普段感じていた感覚とけっこう違ったりします。意外と分かっているつもりでも自分の身体のことが分かってないことって多いと思います。
ここで大事なことは、押してくれている施術者が違うと前回と今回の差が分かりません。押し方は皆さん違いますので比べられないのです。もし、同じ施術者なら施術者はもちろんのこと、押されているご本人も比べられるのです。
この過程を繰り返していくと自己管理ができるようになります。今日は痛い場所が多かったから体調が悪いなとか気持ち良い場所が多かったから体調が良いなとか自分自身で体調を測れるのです。そこで、控えめに過ごそう、早く寝よう、今日は無理しても大丈夫など、過ごし方をコントロールすることができるのです。
自己管理できるのはどのくらい通えば良いかというと、毎週や隔週の方が多いですが、最低でも月に1回は来てほしいです。それ以上間隔があいてしまうと、ほとんど続かないからです。
私は一人で施術をしていますのでお客さんの身体を把握しています。いつもと同じ身体をしているから大丈夫。この張りの時には寝不足だな、仕事し過ぎだな。今日は身体の張りが良かったから調子良いなとかその時々の体調を測り、皆さんにお伝えし、アドバイスを送ります。
これは大事な作業で、積み重ねていくと体調のブレがなくなり、快適に過ごすことができます。もし、これを続けているのに体調の異変があれば違う理由が原因でしょうから病院へ行って調べてもらえば良いのです。そうすれば、早期発見で大事に至りません。病院へ行っても理由が分からなければストレスかもしれません。
もしストレスでないとすれば、違う理由を探したり、話を聞いて過ごし方に問題がないか相談することもあります。そのようなことをしながら、改めて身体のどこかに原因がないかを一緒に探していきます。
いずれにしても、続けることによって身体のことがよく分かり、対処することができます。意識をしていることによって微妙な変化にも気づけることがメリットです。すぐには結果が出ませんから不安になることもあるでしょうが、続けていくと感じられるようになると思いますよ。
続けなければいけない理由をお分かりになりましたでしょうか。続けるということは、時間と経済的に負担を強いられることになりますが、その分健康であれば、楽しいことが待っていると思います。
1977年生まれ。祖父・父・兄が揃って「整体・指圧・マッサージ」の治療院を開設する、いわばこの世界のサラブレッド。学生時代はスポーツ(ゴルフ)に取り組み、大学卒業後、会社員を経てこの世界へ。
2005年独立開業。以来、からだに触れながら、その背景にある生活スタイルやこころのバランスなどにも目を向けた、トータルケアを心がけている。
平成16年 国家資格 あん摩マッサージ指圧師免許取得(第121762号)